活動報告

講演会

中国経済クラブ(角広勲理事長)は11月4日、広島市中区のホテルで講演会を開いた。「菅政権の課題と戦略」をテーマに、政治ジャーナリストの細川隆三氏がコロナ禍での政権運営や日本学術会議の問題を解説。衆院解散・総選挙は、来年10月21日の任期満了近くとなる可能性が高いと読み解いた。要旨は次の通り。(宮野史康)

菅義偉首相の臨時国会の所信表明演説では、期限を区切った政策が多かった。農産品の輸出戦略などは年末までにやると言った。新型コロナのワクチンを全ての国民に行き渡らせるのは来年前半。携帯電話料金の引き下げ、不妊治療は早急に結論を出すとした。身近な事を含め、結果を出すのが菅内閣の姿勢と言える。

その所信表明で、読み間違え、読み飛ばしを6回した。実はこんなことがあった。9月16日の就任後初の記者会見で、桜を見る会を来年以降中止するというニュースがあったが、菅氏は「来年は中止する」と言うつもりだったそうだ。

今、日本学術会議が話題となっている。6人の任命拒否と組織の問題は分けて考えた方がいい。ある閣僚に聞くと、任命拒否は安倍晋三前首相(山口4区)の意を受けた事務方が主導し、菅氏はあまり絡んでない。だから「答えを差し控える」と言うしかない。組織は見直そうとしている。菅氏は絶対折れずに闘うつもりだそうだ。

菅氏の最大の使命は新型コロナ禍での経済再生だ。「Go To」事業を含めて全て安倍政権からの政策で、何を打ち出すかが注目となる。主要な経済、外交政策に菅カラー、魂が感じられない。早く示さないと「菅離れ」が起きる。

自民党総裁選では岸田文雄氏(広島1区)が2位になった。女性の支持率が高いのが強み。二階俊博氏の幹事長続投に細田派の不満があり、菅氏は安泰ではない。がたがたすると岸田氏にチャンスが来る。

解散・総選挙はいつか。菅内閣の発足当初は早期論があったが、もう年内はない。所信表明でやることを列挙しており、年末まで死に物狂いで働くだろう。

来年1月の通常国会の冒頭解散もないとみる。結果が出てないからだ。ウルトラCは、来年度予算案を衆院で通してからの解散で、予算は30日たてば自然成立する。ただ、参院の議論をすっ飛ばすのは乱暴だ。

7月予定の東京都議選は、公明党が最も力を入れる選挙で、前後3カ月は解散してほしくない。4月の予算成立後も解散はない。

必然的に任期満了近くになる。まず総裁選をし、その公約を引っ提げて衆院選をする可能性が一番高いと思う。ただ、菅氏はしたたかだ。早期解散のメリットを考え、色気を出すかどうか。総裁選には勝てると思って出た人。勝てると思ったら選挙をするというところではないか。

(了)

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵