活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は5月24日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。流通経済大副学長の龍崎孝教授(ジャーナリズム論)が「広島サミット後の岸田政権 その課題と展望」と題して講演。広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)の開催による岸田政権の支持率上昇を受け、今後1カ月以内が衆院解散に最適な時期との認識を示した。

広島サミットでは目に見えて成果が上がった。ウクライナのゼレンスキー大統領がオンライン参加だったら、こんなに支持率は上がらなかった。ロシアが核を使用すると言っていた状況下で、原爆が投下された地にゼレンスキー大統領が訪れたのは意味がある。

世論調査では支持率が各紙9ポイントぐらい上がっている。平和的で融和的な外交を演出するのが岸田文雄首相の手法。それが今回のサミットで結実した。

私は「岸田氏は絶対に首相にならない」と各地で言ってきた。2019年の参院選広島選挙区では、岸田派の現職溝手顕正氏が落選した。安倍晋三元首相と菅義偉前首相が河井案里氏の擁立を進め、それをのまざるを得なかった。安倍氏は首相時代に岸田氏を「ポスト安倍」と言っていたが、後任を菅氏にした。岸田氏には屈辱だったと思う。

それでも安倍氏に付いていくのが岸田氏。原発の活用や反撃能力(敵基地攻撃能力)保有、防衛費増額…。首相になってやったのは安倍氏ができなかったことだ。国民の大きな議論になる前に、さっさと決めていた。岸田氏の鈍感力であり、すごみだなと感心せざるを得ない。

岸田氏は非常に温和で、優しい雰囲気を見せているが、現実はそうじゃない。私が毎日新聞で番記者をしていた小渕恵三氏は非常に温和というイメージだが、あの人は執念深い。そういう人じゃないと権力の上にいかない。

衆院解散は今から1カ月以内が最適だろう。来年9月の党総裁選までに解散を打たないとならないとすると、時期は三つしかないと思う。今か、今秋か、来年の4~5月か。岸田氏は任期満了なんて考えていないと思う。

ただ、岸田氏を快く思っていない政治家は永田町にごまんといる。自民党幹事長を引きずり降ろされた二階俊博氏も岸田氏を許すわけがない。総選挙をして少しでも議席が減れば騒ぐ。4月の衆参補選は4勝1敗だったが、都市部でかなり追い上げられた。

麻生太郎党副総裁からも「総選挙をやれ」と言われているかもしれないが、必ずそれを食い止める動きも出てくる。総選挙前に「少子化対策の財源を増税だ」と掲げる動きが党内にあれば、負ける要素が出てきて岸田氏が解散できなくなる。首相を倒すのに一番いい方法だ。タイミングを失えば追い込まれることになりかねない。

当面1カ月は水面下ではいろいろ動きがある。表に出てきた時には勝負はほぼ決まっているだろう。

(了)

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵