活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は3月13日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘を巡り、慶応大の錦田愛子教授が「イスラエル・ガザ戦争 衝突の背景と国際的な余波」と題して講演。民間人の犠牲が続く窮状を訴え、日本からの支援の必要性を説いた。要旨は次の通り。

昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲は前例にない規模の攻撃だった。イスラエル軍は中東で最強と呼ばれていたが、管理上の油断が重なった。現在まで軍事作戦で3人しか人質を奪還できておらず、交渉でしか人質を解放できないのが戦闘長期化の一因だ。

ガザ地区の被害は拡大しており、住民の85%以上の約200万人が「国内避難民化」している。周辺国が国境を閉ざしているため難民すら生まれようがない状況だ。イスラエル建国に伴いパレスチナ難民が生まれて80年近くたつが、ずっと難民を受け入れざるを得ない状況の国もあり、そうした事態を避けるためだ。

戦闘被害以外に深刻なのが飢餓だ。ガザは雨がほとんど降らず、地下水も汚染されている。水、食料、電気、医薬品が不足し、特に北部が深刻だ。バイデン米大統領は支援物資の海上輸送を検討し、欧州連合(EU)も開始すると発表した。

イスラエルが多数の入植地を設けたガザから一方的に撤退した2005年以降、ガザを巡る戦闘は今回を含め5回ある。06年に国際監視団の選挙監視を受けて実施された選挙でハマスが与党になったが、国際社会は認めず、経済制裁を始めた。失業率は5割に上り、人の移動も制限されて自殺が急増した。

パレスチナ側は戦闘の恒久的な停止▽イスラエル軍のガザからの撤退▽ハマスの幹部級を含む政治犯の釈放―を要求しているが、イスラエル側に応じる準備はない。バイデン大統領はパレスチナとイスラエルという二つの国がそれぞれ自決権を持って統治する2国家解決案を求めている。しかしイスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ国家の樹立を否定し、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の解体を望んでおり、解決は先になると考える。

日本からできるのは関心を失わず、問題を放置しないこと。援助機関への寄付は非常に有効だ。

UNRWAのスタッフがハマスに関与したという報道があった。調査中で、疑われた職員は解雇された。UNRWAの予算の多くは加盟国の拠出金に依存しているが、最大のドナー国の米国とそれに次ぐドイツが拠出金を止めて非常に厳しい状況にある。非政府組織(NGO)の支援もUNRWAの情報に基づき行われるのでUNRWAへの支援が非常に重要だ。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵