活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は9月27日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。政治ジャーナリストの青山和弘氏が「どこへ行く日本の政治」と題して話した。岸田文雄首相の退陣の背景や自民党総裁選を巡る国会議員の思惑を語った。要旨は次の通り。

自民党派閥の裏金問題で岸田首相の支持率が下がり、今回の総裁選になった。岸田首相の人柄を悪く言う人はいない。柔軟で常識的な人だ。ただ、プライドは非常に高く、長期政権を担いたい思いは強く持っていた。

分水嶺(れい)は昨年6月。広島市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)が終わった時だ。ウクライナのゼレンスキー大統領まで原爆資料館に行き、原爆の被害を世界の人に見てもらった。すごいことだ。ここで衆院解散をしていれば、こんなことになっていなかった。

岸田首相は官房長官や秘書官などのチームづくりも失敗した。危機管理が遅れて対応が後手に回った。裏金問題でも旧安倍派の閣僚らの更迭が遅かった。ただ岸田首相は2回目を考えている雰囲気もある。まだ若いし、次はもっとやるんじゃないかと期待もある。

総裁選は2、3週間前まで小泉進次郎氏だと思っていた。世論調査の数字が高く刷新感もある。菅義偉前首相や旧二階派が乗り、若手の支持もあった。小泉氏本人は当初乗り気ではなかった。変わったのは7月ごろ。小林鷹之氏に若手エースを取られてしまうと焦り始めた。小泉氏は経済や外交に自信がなかった。それが総裁選の討論で露呈し「やっぱり早い」と思われたのだろう。

小泉氏が失速し、小林氏は切り崩しの対象になり、高市早苗氏と石破茂氏の決選投票になった。旧安倍派や麻生派は高市氏に乗り、菅氏や旧二階派は石破氏に乗ったのだろう。石破氏の決定打は岸田首相だ。宏池会(岸田派)は最初に解散したが、まだ結束力を持っている。高市氏の右寄りの政策とは相いれない。

岸田首相は「(高市氏の推薦人20人のうち)裏金議員が13人はまずい」との思いだったのでは。裏金問題を背負って退陣し、選挙に影響しないようにしたからだ。岸田首相のバランス感覚は相変わらずいい。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵