活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は1月30日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。政治ジャーナリストの城本勝氏が「少数与党で剣が峰の石破政権」と題し、2025年の政局の展望を語った。要旨は次の通り。

自民党は派閥の裏金問題で評判が落ちているが、日本の政治の中で大きな役割を持っている。これまでの主流派ではなく、「党内野党」だった石破茂首相に立て直しを期待していたが、その期待が揺らいでいる。

石破首相は「ハング・パーラメント(中ぶらりん議会)の妙味を生かしたい」と言っている。少数与党だからこそ野党の意見をよく聞いて熟議し、幅広い合意形成をすると。ただ、少数与党は1994年の羽田首相以来。羽田内閣は64日で総辞職しており、そんなに気楽にはいかない。

石破首相は今、来年度予算をなんとか成立させようとしている。予算案の否決は、内閣不信任決議案可決と同じ状況だ。内閣が総辞職するか、衆議院を解散して総選挙をするかという話になるが、今は解散できない。野党の意見を取り入れて予算を成立させるしかない状況だ。

国民民主党の「年収103万円の壁」の撤廃、日本維新の会の高校授業料の無償化、立憲民主党の給食費の無償化。これを全部やる財源はないが、3党との協議は進んでいない。もちろん熟議は大事だが、時間ばかりかかって中途半端な結論になる恐れがある。それが本当にいいのか。

石破政権はいつ倒れるか分からない状況だが、7月に参院選が来る。与党が過半数の125議席を得るには(非改選の議席を除き)52議席を取ればいい。公明党が14議席を維持できれば自民党は38議席で大丈夫になる。

ただ、今年は12年に1度の東京都議選と参院選が連続する年だ。過去も自民党は都議選で負けた年は参院選も惨敗している。野党が参院選で32ある1人区を全て一本化すれば、自民党は4、5議席という分析もある。自民党は都議会自民党の裏金問題でボロボロになっており、都議選で負ければ参院選も危ない。

政治とカネの問題は大事な話だが、物価高騰や人手不足で足元の経済が揺らいでいる中で長引くのはいいことではない。今の状況は野党もだらしない。政策の不一致などの理屈抜きで数さえ合わせれば政権が取れるのに、野党の多くの議員は支持率が高くて与党が言うことを聞いてくれる現状でいいと思っている。

この中ぶらりんな状況を変えて政治を安定させるためには、連立を組み替えて多数をつくるしかない。どうせなら大連立がいいと思っている。石破首相には命運を賭けて大きな決断をしてほしい。石破首相と野党と両方の覚悟が必要だ。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵