活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は3月5日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストが「2025年の日本経済~正常化は実現するか?」と題して話した。賃金上昇が続くものの物価も高止まりし、景気は緩やかな回復にとどまるとの見方を示した。要旨は次の通り。

日本経済は回復局面だが、消費者に実感はないのではないか。回復が緩やかにとどまっている最大の要因は個人消費。新型コロナウイルス禍前の水準にも戻っていない。

企業の業績はいい。円安で輸出関連の製造業は大幅な増益だ。非製造業もコスト上昇分の価格転嫁が進む。ただ、物価上昇で消費者がダメージを受けている。景気は一見いいが、生活苦を訴える人が続出するいびつな構造だ。

昨年の春闘では5%を超える賃上げが実現した。物価高への配慮や業績の底堅さもあるが、最大の要因は人手不足だ。若者にはキャリアアップのための転職が一般的になりつつある。企業は業績の良い悪いにかかわらず、賃金を上げないと人が確保できない状況だ。

女性や高齢者の就業は増えているが、いずれは頭打ちになる。人手不足は一時的なものではないことは企業も認識している。今年の春闘も昨年並みの賃上げはありそうだ。日本経済がデフレに戻る可能性は低くなってきた。

一方で物価上昇は長引きそうだ。今年に入り、食品に限らず値上げのニュースが増えた。価格転嫁を我慢してきた企業はまだある。年度が変わる4月は、相当な値上げが出てくる可能性がある。今秋までは3%近い物価上昇率が続く。賃金が上昇しても、消費は横ばいから若干のプラスにしかならない。これが好循環なのかと疑問が湧く。日本経済が消費主導で自立的に回る状況には遠い。

米国では、トランプ大統領の行動が早く、世界経済へのリスクが高まる。超大型減税や関税などインフレにつながる政策が多い。インフレが加速すると、連邦準備制度理事会(FRB)は利上げせざるを得なくなる。世界的に株式市場が暴落するリスクがある。

トランプ氏は相手に要求をのませる交渉材料として関税を使っている。これから4年間延々と関税の話が蒸し返されると覚悟した方がいい。日本の自動車関連メーカーはメキシコの工場から米国にゼロ関税で輸出しているが、ここに関税がかかると打撃になる。日本経済にとってはマイナスの影響の方が大きい。

日銀の今後の金融政策は、基本的には利上げモードとなる。今の政策金利は0・5%で、1・0%までは既定路線だ。半年ごとに利上げするとの見方が多く、次は7月ごろと26年1月ごろ。春闘の賃上げ率が想定以上に高いようならば、日銀が利上げを前倒しする可能性も高まる。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局長補佐

    道菅 宏信

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵