活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は5月28日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。認定NPO法人インド太平洋問題研究所の簑原俊洋理事長が「分断国家の行方―復活を果たしたトランプ大統領と今後の国際情勢」と題して話した。世界が転換期を迎える中、日本政府として日米同盟への依存から脱却し、韓国や台湾との連携を強化する重要性を指摘した。要旨は次の通り。

トランプ氏の大統領就任から100日余り。世界に極めて大きな影響を与えており、異次元の大統領と言えるだろう。前回就任時の2017年と現在で、国内外の情勢が全く違う。共和党は良識のある保守が去り、「トランプ党」になったと言っても過言ではない。

トランプ氏の2期目の実行力は1期目よりも大きい。全く別物だ。憲法を改正しない限り3期目はない。そのため今後、よりアクセルを深く踏み込んでいくだろう。

トランプ氏の政策が二転三転するのは互いに対抗し合うグループが存在するからだ。国益を重視するタカ派、トランプ氏の忠誠派と親族、実業家イーロン・マスク氏をはじめとする超富裕層の3グループが激しい綱引きをしている。個人としてトランプ氏とつながりを持っているため、グループ同士に互いの信頼関係はなく、足を引っ張り合っている。

日本はどう向き合うべきなのか。行動次第でチャンスがある。トランプ氏は「使えるか、使えないか」で世界のリーダーを見ている。3グループのうち反中のタカ派だけが日米同盟の重要性を理解している。ここを味方につけるべきだ。

世界を見渡すと、自由主義世界のリーダーは小粒化したように映る。例えば、ドイツにはメルケル氏、日本には安倍晋三氏などそれぞれ強いリーダーがいた。今はトランプ氏を抑え込める人はいない。

世界は「覇権挑戦期」に突入した。ロシア、中国、イランなど米国による世界秩序に不満を持つ国が挑戦していく時代。米国は現状維持を最も理想的な形とするが、中国はそうではない。中国は現状変更への挑戦を先延ばしすることはない。

今後の世界を展望すると、経済的に落ち込む中国は、国民の不満のガス抜きのためナショナリズムを高揚させるカードを切ってくる可能性がある。いずれ中国と米国はぶつかり合うだろう。

今年は戦後80年。日本は米国が変わりつつある中で、日米同盟一辺倒から脱却するべきだ。台湾有事だけではなく、朝鮮半島有事も日本有事と考える必要があるのではないか。韓国、台湾との連携強化が非常に大事だ。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局長補佐

    道菅 宏信

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵