活動報告

講演会

中国経済クラブ(苅田知英理事長)は10月30日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。共同通信の内田恭司編集委員兼論説委員が「高市政権の課題と行方~混迷深める日本の政治」と題して話した。要旨は次の通り。(山本真帆)

日本で初めて女性首相となった高市早苗氏。ガラスの天井を破ったインパクトは大きい。各社の世論調査を見ても、若年層や無党派層からも幅広く支持を集め、国民の期待は高いといえる。一方で自民党内きっての保守派。憲法改正や外国人政策、ジェンダー(社会的性差)など保守色が強い政策を打ち出し、穏健な保守層やリベラル層の有権者との分断と対立が深まるのではないか。

政権運営への困難さも見える。自民党派閥の裏金事件に関係した旧安倍派の萩生田光一氏を要職の幹事長代行に起用した。党の運営を麻生太郎副総裁に頼らざるを得ないなど「古い自民党」へ先祖返りしている。「政治とカネ」問題や派閥支配への嫌悪感が、何かをきっかけに国民から噴き出すリスクもある。

こうした執行部人事への不信感や、タカ派的な姿勢から公明党は連立を離脱。単独少数政権に陥った。そこで助け舟となったのが日本維新の会だ。ただ、閣僚を出さない「閣外協力」にとどめたのは自民党を信用していないからといえる。副首都構想や企業・団体献金の廃止など、日本維新の会が掲げる政策を進めることができなければ、いつでも連立解消するというスタンスだ。曖昧な合意も多く、連立は不安定と言わざるを得ない。

衆議院と参議院で過半数割れする中、法案・予算案の通過には野党の協力が不可欠となる。公明党と立憲民主党で「非自民ブロック」が形成されていけば、国会運営は難しさを増すだろう。選挙後の枠組みが予測不可能になる「多党化」時代に突入している。

始まった臨時国会でスタートダッシュが成功するかどうかにかかっている。ガソリン税の暫定税率廃止や、2025年度補正予算案を成立させることだ。失敗まではいかなくても不発に終わると、高市政権は厳しくなると思う。来年2月末の予算案衆院通過と3月の成立が最大のヤマ場だ。乗り切れないと短命政権に終わる可能性もある。

高い支持率を得られれば、早期の衆院解散・総選挙という声もある。乗り切るにはこの連立を本格化させ、国民民主党との連携も視野に入れ、安定的な政権運営を行う必要がある。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    宮田 俊範

  • 事務局長補佐

    道菅 宏信

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵