活動報告

講演会

中国経済クラブ(椋田昌夫理事長)は9月17日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。野村アセットマネジメント(東京)の石黒英之チーフ・ストラテジストが「国際情勢と経済・株式市場の見通し」と題して話した。「日本経済は好循環に入った。企業の稼ぐ力が問われている」と強調した。要旨は次の通り。(岩井美都)

昨今、日本の株式市場は大きな動きになっている。6月末時点の全国の家計金融資産をみると2519兆円。1年前と比べて250兆円増えた。直近5年間で見ても509兆円増えている。それまでのデフレの5年間では255兆円しか増えなかったが、インフレになって良い循環になっていると言えるだろう。

ただ、インフレは残酷なまでに企業の実力を丸裸にする。競争力のある会社とない会社に二極化するからだ。競争力のある会社は値上げして収益を増やすが、競争力のない会社は値上げや賃上げができず、最終的には淘汰(とうた)されることもある。

企業の賃金上昇も進み、引き続きありとあらゆる物の値段が上がる世の中で、欧米に比べ日本の物価はまだ安いと言える。インフレの好循環について「実感がない」との声を聞くが、誰も疑うことのできない証拠がある。それは国の税収だ。2025年度の税収は84兆2千億円と過去最高。新型コロナウイルス禍前からわずか6年で1・5倍に増えた。ことしは所得税や法人税も増え、90兆円くらいになるだろう。

米国は日本のインフレを危惧し7月、日米で協調して為替介入した。車に例えると今の日本はブレーキの役割のある利上げをしても、どんどん車のスピードが加速している状況。世界の金融市場の混乱を防ぐため利上げに踏み切った。今後はこれまでの2倍速となる3カ月ペースに加速する。来夏で2%、さらにその先には2・5%まで織り込んでいる。

世界の金融市場の次の押し下げ要因となりうるのが人工知能(AI)だ。AI相場を見る上で、大手テック企業のキャッシュフローや資金調達環境を注視する必要がある。AIの安全性を担保できないとして開発ペースを落とす動きもあるが、AI市場の伸びしろはまだある。長期的な視点を持つことが大切だ。

トランプ関税の発動や中東情勢の影響など、大手メディアなどがさまざまな報道をする中で、実際市場がどうなっているのか、自分で見て行動していくことが求められている。投資は世界を応援することだ。今の便利な時代があるのは、これまでの時代の中で、インターネット技術などに投資していた人がいたから。私たちも子どもたちのため、未来に投資することが責務だと思う。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    道菅 宏信

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵